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NPO法人おどろ木ネットワークは、森と木の文化見直し、ものづくりや手仕事の知恵と創造力をもって、
活力ある地域社会の実現をめざします

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      木の乾燥

 
■木の 水分と膨張・収縮
 木の乾燥が不十分であれば、どんなに腕のいい職人が作ったモノでも、後日、「収縮」、「割れ」、「変形」等の発生に見舞われることになる。木材の加工に携わる人達にとって、木の乾燥はとりわけ重要な木材加工の第一歩なのです。にもかかわらず、木の乾燥に関わるトラブルは多いのは、含水率は目に見えないということ、勘に頼ってしまうこと、納期に追われて乾燥不十分な木材を使ってしまうこと等の理由によるものと思われます。

○目に見えない含水率
 木に含まれる水分を含水率といいます。含水率は、木材の重量に対する含まれる水分量の割合で%で表します。ここで言う木材の重量というのは水分の無い状態の木材のこと(全乾重量)で、104℃の温度環境で重量が恒量になったときの重量(JIS Z 2101)と決められております。これを全乾法による木材含水率測定法と言います。

        含水率(%)=100(木材重量−全乾重量)/全乾重量

 研究者は、@対象となる試験材から試験片を採取A重量を測定B104℃に設定した恒温機に試料を入れるC恒量になった重量を測定D含水率の計算、と簡単にやっちゃいますが、同じことを家具屋や建具屋にやれといっても大変です。
 どうしてもやってみたい人は以下の方法で。
(1)用意するもの
 布団乾燥機、0.1g精度のデジタルはかり、計算機
(2)測定しようとする材料の中心部、または端から10cm〜30cmのところから幅5mm程度の薄いの試験片を採る。厚い試験片だと時間が掛かります。
(3)採取した試験片の重量を測定します。
(4)布団乾燥機の中に入れ、ときどき取り出して重量を図ります。
(5)重量が減らなくなったら、それを全乾重量とします。
(6)含水率の計算に当てはめて計算します。

※何といっても木材含水率計が一番便利ですが、その場合には、比重補正や厚さ補正、温度補正を忘れずに。

○水分と収縮・膨張
 木材は、繊維方向、半径方向(柾目方向)、接線方向(板目方向)という3つの方向性を持つ材料で、収縮・膨張率が大きく異なります。

工事中!!




半径方向(柾目方向)が少なく、接線方向(板目方向)の半分です。また、板目方向では含水率10%に対して2%変化します。これを60mm幅の枠の留め構造に当てはめると下図になり、約1.7mmの隙間があくことになります。






■乾燥方法
 木材の乾燥方法は天然乾燥と人工乾燥があります。

○天然乾燥

 屋外に堆積または立てかけ、気象条件に任せて乾燥させる方法で、乾燥費用が少なく、急激な乾燥による異状収縮等が起こり難いのが長所でですが、梅雨時期のカビ等、気象条件に影響を受けやすいのが欠点です。また、ある程度乾燥した材料は屋根裏に保管することはよいことで、これによってヒバ框板等は含水率15%程度にまで乾燥させることができる。しかし、言葉を変えればこれが人工乾燥の限界と言えます。家具・建具は10%以下まで含水率を下げる必要があり、天然乾燥は人工乾燥の予備乾燥という位置づけとなっております。

○人工乾燥
 人工乾燥は、温度、湿度、風速等の乾燥条件をコントロールしながら、樹種、厚さ、初期含水率の異なる木材に合わせて、品質を妨げることなく、迅速に乾燥しようとする木材の乾燥方法です。その種類は、熱源方式、空気の循環方式、材料の収容方式によって様々です。
は蒸気、電気等を用いるのが一般的であるが、排熱や太陽熱を利用する方法、高周波乾燥や減圧乾燥等もあります。

○乾燥スケジュール
 木材をできるだけ損傷が少なく早く乾燥させるためには、木材条件(含水率、厚さ、樹種、比重)に合わせて乾燥室内の温度・湿度をコントロールする基準を乾燥スケジュールと言います。私は、最初に米国林産研究所の指針を参考にした含水率スケジュールを組み、これに沿って以下のように進めます。全乾法による1日一回の含水率推定を行い、段階が変わり、温度湿度を変更させる場合は、その木材含水率と乾燥室内の温度・湿度から得られる平衡含水率の比率が2.5〜3.0にあるかどうかを確認することにしております。
 乾燥機内の木材含水率を測定しながらこれに追従した乾燥条件を与えながら自動的に乾燥する方法もあります。また、木材の内部応力を推定しながら乾燥操作する方法も試みられています。

■自作木材乾燥機

○太陽熱除湿乾燥機について
 1立方メートル程度の乾燥機を購入するととなると1千万円は覚悟しなければなりません。さらにランニングコストやボイラーの維持修繕費となるとなかなか手が出ないというのが現状です。そこで、小さな家具・建具屋さんのために、こんな乾燥機はいかがでしょうか?。熱源は太陽熱と除湿器廃熱、補助として電気ヒーターを備え、湿度(乾球・湿球温度差)は除湿器と手動吸排気口(写真)で行います。一般的に、木材の人工乾燥機の温湿度条件は、温度50℃〜80℃、湿度95%〜25%ですが、この乾燥機では、温度40℃前後、湿度30%〜40%です。夏は70℃まであがりますので、高含水率材や厚板などは割れの発生に注意する必要があります。


○太陽熱除湿乾燥機の作り方
@乾燥機の大きさ
大きさは幅2m奥行き2.4mとしました。もちろん、もっと奥行きをとることもできますが、その分、台車の強度やファンの台数等を考慮する必要があります。下記の大きさであれば幅80pの台車をいれることが出来ファン設置スペースや除湿器設置スペースをとることが出来ます。高さは、桟積みの高さ1m程度を見れば、全体で2.5m必要です。
A構造
 
9o又は10oの構造用合板を表裏面とし、断熱材をコアとしたパネル構造です。基礎に土台を乗せその上に床パネル、壁パネル、乾燥室天井パネル、集熱室パネルの順に組み立てていき、装置類を設置し、最後に集熱窓を取り付けます。
B集熱装置

 集熱窓はペアガラスを使うと集熱効率が高まります。集熱窓は、設置場所の緯度の角度にします。集熱板(黒いペンキを塗った鉄板)は集熱室壁面・底面から10p程度離して設置します。集熱板に整流板を加工する集熱の効率を高めることが出来ます。
Cファン
 能力、
D除湿器

E吸排気口及びダンパー


F台車


G補助ヒーター


H制御板





○太陽熱除湿乾燥機の性能